高橋 賢

レポート:宇宙生物学研究

レポート:宇宙生物学研究

Rotation microscope
この記事は、高橋賢が研究分担者として参画した「宇宙に生きる:宇宙からひも解く新たな生命制御機構の統合的理解」のニュースレターです。(日本学術振興財団・新学術領域研究

重力変化を含む力学的ストレスに対するメカノセンシング機能

研究の目的

細胞の重力応答をリアルタイムで観察するため、遠心力により重力を発生させる蛍光顕微鏡システムを開発しました(写真、特願2016-043814)。回転中にCMOSカメラとLED光源をリモート制御することにより、重力下で細胞の形態変化のイメージングに成功しました。これに加え、培養細胞の観察により適した倒立型遠心顕微鏡の開発を現在行っています。今後は、重力を負荷した状態でミトコンドリアなどの細胞内小器官の変位を観察し、細胞の重力感知機構の解明を進めていきます。

研究成果

I. 細胞の重力応答の観察

細胞の重力応答をリアルタイムで観察するため、遠心力により重力を発生させる蛍光顕微鏡システムを開発しました(写真、特願2016-043814)。回転中にCMOSカメラとLED光源をリモート制御することにより、重力下で細胞の形態変化のイメージングに成功しました。これに加え、培養細胞の観察により適した倒立型遠心顕微鏡の開発を現在行っています。今後は、重力を負荷した状態でミトコンドリアなどの細胞内小器官の変位を観察し、細胞の重力感知機構の解明を進めていきます。

写真:遠心力により重力を発生させる蛍光顕微鏡システム(特願2016-043814)。遠心顕微鏡システムに20倍の対物レンズと緑色蛍光観察用フィルターを装着し、回転中及び数十分程度の回転刺激に対する細胞形態変化のイメージングに成功した。

II. 細胞の重力応答における機械刺激受容チャネルの影響

骨や心筋などの再生医療への応用が期待されている間葉系幹細胞では、YAPというタンパク質の活性化が骨細胞への分化に関与することが知られています。私たちはこの間葉系幹細胞を用い、クリノスタット装置で模擬微小重力環境をつくることにより、間葉系幹細胞が微小重力状態を感知するしくみを明らかにする研究を行ってきました。

私たちはこれまでの研究で、間葉系幹細胞の骨分化が模擬微小重力環境下で抑えられる過程では、YAP活性の低下が重要な役割を果たしている可能性を見出しました。また、このYAPの活性化にはプロテインキナーゼC (PKC)というタンパク質の活性化が必要であることも見出しました。

さらに私たちは、間葉系細胞が模擬微小重力に対して示すYAP活性の低下に、機械刺激受容チャネルであるTRPV4 (Transient Receptor Potential Channel V4)の活動が関与するかを調べました。その結果、活性化薬によってTRPV4を活性化させると、模擬微小重力環境によるYAPシグナル活性の低下が抑えられることがわかりました。一方、分子生物学的な手法により間葉系幹細胞のTRPV4発現を抑制すると、重力の強さに依らずYAPシグナル活性の低下が見られました。これらの結果から、間葉系幹細胞の重力感知において、YAPの上流でTRPV4が働いていることが示唆されました。今後は、間葉系幹細胞が重力を感知して骨分化する仕組みが、TRPV4チャネル、PKC、およびYAPの一連の活性化により説明できるかを明らかにしていきます。

この研究は、日本学術振興会・新学術領域研究の助成により行われました [No. 15H05936].

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Takahashi Lab at Okayama University uses principles of physiology, cellular and molecular biology, and biophysics. The purpose of the lab is to develop science and medicine by unveiling the mechanisms of diseases through collaborations with scientists, epidemiologists, and corporate alliances. The alliance includes Harvard University, Boston University, Tokyo University of Science, and PD Aerospace, Ltd.

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