オリンピックの希望の炎を運べ―コロナウイルスのパンデミックを乗り越えて
コロナウイルスのパンデミックにより開催に困難が予想される中、ギリシャから運ばれたオリンピックの炎を、日本全国を通って東京2020オリンピックの会場へつなぐ聖火リレーが行われています。2021年5月19日、高橋は、その聖火ランナーの一人としてオリンピックの炎をつなぎました。
トーチを運ぶ理由
私は岡山大学の教員として、岡山の学生と世界の学生をつないでいます。このつながりは、多様な人々と協調する姿勢を養い、国際共同研究による数々の成果を生んできました。年来の取り組みにより、岡山医学会から教育奨励賞を賜りました。
現在私は米ハーバード大学に出向中で、ヨーロッパ、アジア、中東など文化・宗教的に多様な仲間たちと、アルツハイマー病の研究を行っています。帰国後は、岡山の学生達に互いを尊重することの大切さを伝えていきたいと思います。
スポーツは人の精神を鍛え、限界を破ります。トライアスロンのアイアンマンレース(水泳3.8km、自転車180km、マラソン42km)を完走した経験から、不可能が可能になることを私は信じています。
世界は今、米中貿易摩擦や日韓関係の悪化など、協調を失いつつあります。こんな時こそ、スポーツによる親交がますます大切です。「平和は可能である」という信念で、聖火をつなぎたいと思います。
2019年8月、パンデミック前
世界中の人が待ち望んだ2020年の東京オリンピックが、コロナウイルス感染症の蔓延により延期となったのは、本当に残念です。コロナは各国で多くの命と仕事を奪い、ロックダウンやソーシャルディスタンスは私たちの何気ない幸せな生活を奪いました。
外国旅行はおろか、一生に一度の修学旅行や、病人との面会や、祖父母に会いに行くことすらできない。この歴史的な惨事で、どれだけ多くの人の幸せが蝕まれ、また消えたでしょうか。いま世界は、いつ終わるとも知れないパンデミックの中で、言葉にならない諦めに染まり、沈鬱としています。
しかし、終わりのない嵐はありません。人類は英知を結集してワクチンを開発し、お互いの健康を想って、一人一人が感染防止策を実行しています。平和の祭典であるオリンピックのともし火が、今ほど必要な時はありません。
この歴史に残る東京2021オリンピックで、人類の希望を再び灯す聖火のトーチを、大切に運びたいと思います。
2021年1月、パンデミック中
東京2020オリンピックが安全で成功に終わる可能性は、まだある。私たちは、病気にならず医療システムを逼迫しないことなど、様々な方法によってオリンピック成功に協力することができる。
オリンピックに命を懸けるアスリートがいて、彼らの競技を見たいと思う人がいて、オリンピックが世界の平和の祭典である限り、私は希望の聖火をつなぐ。
May 18, 2021, during pandemic
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