『楽園の犬』を読んで
運命の悪戯で海軍スパイとなった主人公・麻田。彼は、いかに美化されようと、自殺は生からの逃避だと説く。どんなに無様でも、家族のため、友人のため、守るべきもののために生き続けること。過酷な状況に翻弄されながらも、自らの信念を貫く麻田の生き様が、我々に訴えかける。
いま最も熱い著者の最高傑作! 世の中が戦争に突き進もうとするとき、人はどこまで自分でいられるだろうか。 「いま書かれ、いま読まれることに意味がある。 この先わたしたちは『戦時下における個人の思い』を、黙殺することができるだろうか。 流れる血はいったい誰のものなのか。親が子に遺せるものは何なのか。 頁をめくりながらひたすら考えた。 読むほどに、現在を書いたものではないかと錯覚しそうになった」 ――桜木紫乃氏