高橋 賢

研究報告2019: Heart-on-chipによる心筋梗塞時不整脈のメカニズム解明

研究報告2019: Heart-on-chipによる心筋梗塞時不整脈のメカニズム解明

Research - Ken Takahashi - 高橋賢

研究代表者・高橋賢は2018年7月末からアメリカのボストンに渡航し、ハーバード大学Wyss Instituteで研究を開始しました。当初の計画では2019年7月末に共同研究を終了して帰国する予定でした。

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しかし、Wyss Institute内で製薬企業などとの連携が強固な「血液脳関門チーム」に加わることとなり、この計画の発展に伴ってボストンでの研究期間を4ヶ月延長することになりました。その結果、高橋は世界各国の優秀な研究者約50人とネットワークを築くことができました。

心筋梗塞と脳卒中の共通の原因を求めて

高橋はハーバード大学で、血液脳関門チップの虚血再灌流障害モデルを開発しました。 虚血再灌流障害は心臓で心筋梗塞を引き起こすのと同じように、脳では脳卒中を引き起こします。 これら2つのかけ離れた疾患に共通の分子メカニズムがあるように考えられるため、心筋梗塞に対する彼の当初の関心は、今では脳虚血再灌流障害にも及んでいます。

My experience at Harvard was amazing. People are good and brilliant. Collaboration is very active. It is extremely difficult to imitate the wonderful research environment at the Wyss Institute, but it must be done to improve the science environment in Japan.

高橋 賢

高橋はハーバード大で臓器チップ上の細胞培養、培養液・血液の灌流、ライブイメージングなどの技術を習得しました。一方、日本の岡山大学ではヒトiPS細胞から分化誘導した心筋細胞を用い、虚血再灌流状態を再現する方法を確立しました。

成果の向こうに

このヒトiPS心筋細胞の虚血性心疾患モデルの開発は、大きな成果をもたらしました。研究論文がBiochemical and Biophysical Research Communications誌に掲載された他、Journal of Visualized Experiments誌からは正式な投稿依頼を受けました。この成果は米有力科学誌Science系列のEurekAlert!でプレスリリースを行い、海外8つのメディアで紹介されました。さらに、iPS細胞と歯肉線維芽細胞との共培養による心筋分化誘導効率化の研究成果は、岡山大学から特許出願を行うことが決定されました。

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ハーバードの臓器チップ技術と岡山大学のiPS心筋細胞とを組み合わせることにより、この研究をさらに発展させたいと考えています。さらに、心筋梗塞と脳卒中の共通の分子メカニズムを発見し、その予防法の開発に貢献したいと考えています。

高橋 賢

本研究はJSPS科研費・国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)17KK0168の助成を受けたものです。

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Takahashi Lab at Okayama University uses principles of physiology, cellular and molecular biology, and biophysics. The purpose of the lab is to develop science and medicine by unveiling the mechanisms of diseases through collaborations with scientists, epidemiologists, and corporate alliances. The alliance includes Harvard University, Boston University, Tokyo University of Science, and PD Aerospace, Ltd.

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